甘夏のマーマレード
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お菓子作りの好きなお母さんから、甘夏のマーマレードをもらった。その昔、女の子だったころ、苺のジャム作りに憧れ砂糖たっぷり煮詰めてみたがジャムにはならなかった。クッキーもスポンジケーキも失敗で、それからお菓子のレシピを見なくなった。ところで、マーマレード。この言葉、なぜか優しいお母さんを感じさせる。小さな子どもが口にする、マーマのせいか。でも、マーマレードには、少し渋味があるのだけれど。「マーマレードって、どんな意味なのかしら」訊ねると、お母さんが教えてくれた。夏みかんなどの柑橘類の皮を甘く煮詰めたものを、マーマレードと言うのだと。そうか、あの渋さは、みかんの皮だったのか。「果肉を使ったものがジャムよ」とも教えてくれた。
甘夏の皮は厚くて剥くのが大変。夏に食べるみかんといったら、ゼリーにはいっているみかんや冷麦の飾りのみかん粒くらいだった。我が家に新しい味を取り入れてみようと、喜んでその瓶を持ち帰った。大学生の息子が、甘夏のマーマレードを気に入った。渋い甘夏の皮が、甘いだけのジャムよりいいそうだ。彼が、「これ、紅茶に入れてみてもいいかも」と、柑橘の味を楽しんでいる。
甘夏のマーマレードのレシピ
マーマレードを気に入った息子は、すぐに瓶を空にした。あのお母さんにお代わりを催促したかったが、それは止めてレシピを聞いてみた。主婦になって二十年近くになる、お菓子作りもやればできるだろうと思ったのだ。甘夏みかんを三個、半分に切って果汁をしぼる。皮を細く千切りにして、水を入れた鍋で煮る。鍋のお湯を捨て、水を入れ再び皮を煮る。お湯を捨て、また皮を煮る。これを数回繰り返して、皮の苦味を取る。次に、皮と果汁と砂糖たっぷり鍋に入れて煮詰めるだけ。砂糖の量は200gくらい。量は、甘さをみながら好みで加減する。と、レシピは簡単だった。
甘夏のピール
他にピールも教えてもらった。ピールのレシピも簡単。皮を煮ているお湯を捨ててはまた沸かし、また捨てては沸かし。お湯で煮詰めた甘夏の皮に砂糖をまぶすだけでおしまい。手作りマーマレードの秘訣は、その場に合わせて作り方を変えてしまうことらしい。たとえば、砂糖の水煮のようになっていたら、水あめを入れてしまうとか。なるほど、レシピはあくまでレシピ。そこに自分の工夫を入れるのがいいみたい。子どものころジャム作りに失敗したのは、ひと工夫ができなかったせいかも。黄色くて厚い皮を剥きながらかつての失敗を思い出していた。何はともあれ、息子のために、甘夏のマーマレードを作っている。